人の心を掴む「聞き方」は、「テクニック」ではなく「感情移入」
私たちは日常のなかで、
人の「話を聞く」ことが必要な場面は多々ありますね。
例えば、仕事で上司や同僚との打ち合わせで、取引先との商談や接待で、
例えば、ご近所の方と地域の集まりについて話す時・・・
例えば、お子さんがいれば、今日の出来事とか、ご飯の食べ方、スマホの使い方など…
人と接する以上、
自分の話をするだけでは関係は成り立たない
ものです。
しかし・・・
昔から、
話し上手は聞き上手
といいますが、これがなかなか思ったようには行かないものです
世の中、この「人の話を聞く」ということに苦手意識を持つ人が多いからなのか、書店に行けば、聞き方に関するテクニック本も沢山出版されていますね。
ところで、
私たちセラピストにとっては、人の話を聞くことは
施術の一部と言っていいくらい重要
です。
特によーく、じっくり話を聞く場面としては、
初回に来院された際の「問診」ですね。
しかし、セラピストと言えど、人の話を聞くことが、苦手な人が多い。
ですから、セラピスト向けの
問診、カウンセリングのテクニックを紹介するセミナー、商材
も溢れています。
例えば一例として、
カウンセラーの技法「ペーシング」の使いかた。
内容はこんな感じですね。
↓
相手と呼吸合わせましょう。
相手が息を吸っているなら、こっちも吸いましょう。
相手が息を吐くのに合わせて、こちらも吐きましょう。
次に仕草を合わせましょう。
相手が頬杖をついたら、こちらもさり気なく頬杖を。
相手が腕を組んだら、さり気なく腕組みを。
鏡写しになるようにしましょう。
声のトーンも合わせましょう。
相手の声が弾んできたらこちらも弾ませましょう。
落ち着いた声のトーンなら、こちらも低く落ち着かせましょう…。
ざっくりいうと、↑ こういったテクニックを使うわけです。
でもですね・・・
それ、自分が逆に話しをする立場なら、
嬉しいですか?
だって、話している最中、こんな事で頭の中がいっぱいなんですよね。
↓
さあ!息を吸ったな!
よし、呼吸があってきたゾー。
お!頬杖ついたな。
大げさにならない程度にこちらも頬杖ついて、と。
あ!だんだん声のトーンが弾んできたな。
…よしよし、いいぞ、こちらも声を弾ませて、と。
・・・
話聞けよと(笑)
人間、自分に対してテクニックで接してくる人に、好感はいだかないものです。
もう動物的な本能で。
もちろん、テクニックが全てダメというつもりはありません。必要なものです。
上記でご紹介した「ペーシングの技法」も、熟練すると考えなくても自然と出来ます。
私も必要があると判断すれば、使うこともあります
※特に精神的なストレス抱えている人に、思いを自然に話していただける空気作りには、有効な場面が多い
しかしながら、
テクニックは、しょせんテクニック
大事なのは、そのテクニックを
「何のために」使うのか?
でしょう。
もし、テクニックを駆使する目的が、「自分を良く見せたい」という、相手から評価を得るために使うのであれば、いくら上達したとしても、単なるテクニシャン。技術自慢ですね。
これじゃあ、相手は、浮かばれないなあ。
もし、相手の思い、気持ち、立場に立って共感したい、と願うならばどうでしょう。
どんな痛みで、家族からも分かってもらえない辛さ、職場のあの上司が同室にいるだけでどれほど息が詰まる思いをしているのか…。
相手が子どもなら、今日は学校でどんな楽しいことがあって、どんな気分だったのか。クラスの友達とバカ話で笑い合った時に感じた盛り上がり感、高揚感…。
相手の思いに素直に関心を寄せれば、
自然と自分の心にストンと入ってきます。
ポイントは、
どこで、何があったかという事実を拾い上げるのではなく、
どんな文脈の中に、どんな感情が張り付いていたのか、という物語で受け止める。
その上で、
「自分のため」ではなく、「相手のため」という前提に立って聞くと、
話し手の気持ちと共感出来る実感が得られやすいです。
まとめると、
人の話を聞くことが上手に出来る人は、
相手の感情を自分事として、相手のために共感できる人
ということになりますね。
ご家庭にお子さんがいれば、ぜひ試して下さい。
毎日繰り返していると、「聞いて!」とこどもの方からどんどん話をしてくれるようになります。
きっと喜ばれますよ。